絵描きの端くれとしてずっと気になっていたのに読んでいなかった本をやっと読みました。
ポケモンカードのイラストや、自身のYouTubeチャンネルでイラストのノウハウを発信していることで有名なさいとうなおきさんの1冊目のイラストノウハウ本です。
本書で私が特に印象に残った部分を書いていきます。
背景を描かなくても背景は描ける!(?)
「背景が苦手です」という質問への筆者の回答です。
これだけだと、ちょっと何言っているかわからないですよね。
本書では7パターンの「抽象背景」の描き方が紹介されています。建物や風景を描かなくても、様々な効果や表現を組み合わせて魅力的な作品にする方法をわかりやすく提示しています。
背景だけでなく、楽しみながら上達につながるアイデアが豊富です!
土台作り(心身の健康)が大切
絵関係の仕事は、せっかく仕事を獲得しても体を壊して継続出来ず辞めていく人が少なくないようです。
筆者は以前、仕事を続けていくうちにひどい腰痛に悩まされ、創作意欲も一時無くなってしまったそうです。このままではいけないと思いアーロンチェアを購入し、心身の健康の為にも定期的にスポーツジムに通っているそうです。
運動することで創作意欲も復活したとのこと。
良質な創作をするには心身の健康を保つのは重要だな、と確信しました。
この本を読んで今後は日頃からもっと運動しよう・・と思いました
絵のプロになりたい人へのアドバイスも
本書は絵そのものに関するテクニックだけではなく、絵を仕事にしたい人が悩みがちな事についても的確なアドバイスもあります。
バランス感覚を大切に
筆者は「必要とされる絵を描く」ことも「自分の好きな絵を描く」こともどちらもバランスよくやるべきだと言っています。
「必要とされる絵を描く」のはもちろん必要で、「自分の好きな絵を描く」こともその作家らしい面白い作品を作るために必要であると述べています。
好きになる努力も必要
「好き」を仕事に出来たら最高ですが、なかなかそういうことは滅多に無いようです。
筆者は以前担当していた作品を仕事で触れていくうちに好きになっていったエピソードも紹介しています。
こっそり打ち明けると、最初はあまり『刃牙』の絵が好きにはなれませんでした。
だって、筋肉の描写が過剰すぎじゃないですか!?
(136ページ)
「確かに・・!!」と読みながら笑ってしまった部分です。
本当に仕事にしたいか
やはり「好きな絵だけを描いて評価される」ということは難しく、趣味に留めておいて仕事にしないと判断する人は多いです。筆者もそれが普通だと言っています。
絵を仕事にすると「好きではないけど必要とされているから無理にでも描く」ということが出てきます。事実なんですが、あまり夢がないというか、それって楽しいのかな・・とプロを志す人は心が曇るかもしれません。
ですが筆者はこの事実について下記のように言い換えています。
確かにイラストの仕事は、需要のあるものを無理やり描くという側面もあります。でもそれは言い換えると、みんなが欲しがるプレゼントを贈っているともいえます。
(137ページ)
本来仕事というのは誰かに喜んでもらうためにやることだというのを思い出しましたし、「プレゼント」という表現が素敵だな、と思いました。
備考:「Twitterで営業」の部分について
絵の仕事をもらうためにTwitterが一番効率がよい、と記載がありますがこの部分については今後は変わってくるかもしれません。
この本が発行されたのは2021年なので、2年後の現在はTwitterの使い勝手も変わってきており、営業ツールとして使うには工夫が必要と思われます。
好きなクリエイターさんの投稿を見ようとすると意図しない広告を目にすることが多くなりました。
度重なる改変(改悪?)により離れたユーザーも少なくないと思います。
まさか、Twitterというサービス名も青い鳥のアイコンすらも別のものに変わるとは誰も想像できなかったと思います。
これも時代の流れなのでしょうか。こういった変化にも柔軟に対応するのはクリエイターの必須スキルなのかもしれません
とはいえ、時代に関係なく応用できる考え方やテクニックもたくさん詰まった1冊です。
わかりやすい説明と可愛らしいイラストでとても読みやすいので、絵で悩みがある方、絵の仕事をしたい人には是非お手にとってみてください。